理由のない不安は、おかしなことではない
「不安になるのは、何か原因があるからだ」──多くの方がそう思っています。
確かに、原因がはっきりしている不安もあります。明日のプレゼンが不安。好きな人から連絡が来なくて不安。将来のことが不安。
でも、ここで少し考えてみてください。
理由がないのに不安を感じたこと、ありませんか?
実は、これは多くの方が経験していることなのです。周りの友達に聞けば「わかる!」と言ってくれる人はきっといるはず。
人間の脳は、何も問題がないときでも「何か見落としていることはないか」と自動的にチェックし続ける仕組みになっています。
つまり、理由のない不安は、あなたの脳が「念のため警戒しておこう」と働いてくれている結果なのです。
不安を感じる力は、自分を守るための力でもある。
だから、「不安になるなんておかしい」「こんなことで悩んでる自分が弱い」と責める必要はまったくありません。

夜になると不安が大きくなる理由
「昼間は大丈夫だったのに、夜になるとダメになる」──こんな経験はありませんか?
これには、ちゃんとした理由があります。
日中は仕事や家事、人との会話など、脳がさまざまなことに忙しく動いています。不安を感じる余裕がない、とも言えますよね。
でも夜になると、やるべきことが減って、脳に「空き」が生まれる。その空きスペースに、不安がするりと入り込んでくるのです。
解釈
さらに、夜は身体も疲れています。疲れた状態の脳は、物事をネガティブに解釈しやすくなる。
つまり、夜に不安が大きくなるのは、あなたの性格の問題ではなく、脳と身体の仕組みの問題です。
だから、「夜だけ弱くなる自分」を責めないでくださいね。それはあなたが弱いのではなく、夜という時間帯が、そういうふうにできているだけなのです。
不安を「消そう」とするほど、大きくなる
不安を感じたとき、多くの方が最初にやろうとすることがあります。
「考えないようにしよう」
「気にしなければいいだけだ」
──でも、うまくいかないですよね。
考えないようにすればするほど、頭の中は不安でいっぱいになる。これは失恋コラムでもお伝えしたことがありますが、「考えるな」と思った瞬間に脳はそのことをもっと強く意識してしまう仕組みなのです。
だから、不安を無理に消そうとしなくていいのです。
ここで本当のことをお伝えしてもいいですか?
不安は、消すものではなく、そこにあることを認めてあげるもの。
「ああ、今私は不安を感じているんだな」──ただそれだけ。良いとか悪いとか判断せず、ただ「あるな」と認める。
不思議なことに、不安を「敵」として戦おうとするより、「ああ、いるね」と隣に座らせてあげる方が、ずっと楽になることがあるのです。

「不安な自分」を責めてしまうあなたへ
理由のない不安を感じたとき、いちばんつらいのは実は不安そのものではなく、「不安を感じている自分を否定してしまうこと」かもしれません。
「みんな普通に生きてるのに、なんで私だけ」
「もっと強くならなきゃ」
「こんなことで悩んでるなんて甘えだ」
──でもね、少し考えてみてください。
あなたの友達が「理由はわからないけど、最近不安で眠れないんだ」と打ち明けてくれたら、あなたは何と言いますか?
きっと「甘えだよ」とは言わないですよね。「大丈夫? つらかったね」と寄り添うのではないでしょうか。
その言葉を、今夜は自分自身にかけてあげてください。
不安を感じることは、あなたが「ちゃんと生きている」証拠です。何も感じない人間なんていません。
『柳に風』ということわざがあります。柳は強い風に逆らわず、しなやかに受け流す。折れずに立っていられるのは、強さではなく「しなやかさ」があるから。
不安を無理にねじ伏せるのではなく、しなやかに受け流す。それができるあなたは、十分に強い人です。

不安の雲は、いつか必ず流れていく
私が使うルノルマンカードの中に、「雲」というカードがあります。
「雲」は、混乱や不安を表すカードです。視界が曇って、先が見えなくなっている状態。
でも、雲には大切な特徴があります。
雲は、必ず流れていくということ。
空をずっと覆い続ける雲はありません。どれだけ厚い雲でも、風が吹けば流れていく。そして雲の向こうには、いつも同じ空がある。
今あなたの心を覆っている不安の雲も、同じです。今夜は厚くて先が見えなくても、必ず流れていきます。
大切なのは、雲がある間に「永遠にこのままだ」と思い込まないこと。雲は一時的なもの。それを知っているだけで、少しだけ楽になれるはずです。

不安をやさしくほどいていく方法
不安を「消す」のではなく、「ほどいていく」。そのための具体的な方法をいくつかお伝えしますね。
不安を「言葉にして外に出す」。
頭の中でぐるぐる回っている不安は、形がないからこそ怖いのです。
スマホのメモ帳でいいので、「今、何が不安なのか」を書いてみてください。箇条書きでいい。きれいな文章じゃなくていい。
書き出してみると、「あれ、こんなことだったんだ」と拍子抜けすることがあります。頭の中では巨大に見えていた不安が、文字にすると意外と小さかったりする。
「五感」を使って、今この瞬間に戻る。
不安が強いとき、心は「まだ起きていない未来」のことばかり考えています。
そこから「今この瞬間」に戻るために、五感を意識してみてください。
布団の肌触りを感じる。時計の秒針の音を聴く。温かい飲み物の香りを嗅ぐ。
「今ここにいる」という感覚を一つずつ確認するだけで、未来への不安から少しだけ離れることができます。
「明日の朝の自分」に手紙を書くように、一言だけ残す。
今夜の不安を全部解決しようとしなくていいのです。
スマホのメモに一行だけ書いてみてください。「今夜は不安だった。でも明日の朝、きっとましになっているはず」と。
翌朝そのメモを見たとき、「ああ、昨日の夜の私、がんばってたな」と思えるはずです。それが小さな自信になります。
身体を温める。
不安なとき、手足が冷たくなっていませんか? 緊張すると血管が収縮して、末端が冷えやすくなります。
温かいものを手に持つ。靴下を履く。湯たんぽをお腹に当てる。身体が温まると、心も少しだけゆるみます。
レモンバームというハーブをご存じですか? 「メリッサ」とも呼ばれ、ヨーロッパでは古くから「心を明るくするハーブ」として親しまれています。レモンのようなさわやかな香りが、ざわつく心をそっと落ち着かせてくれますよ。
それでもざわつきが止まらないなら
言葉にしてみた。五感を意識してみた。身体を温めてみた。
それでもまだ、胸のざわつきが消えない夜もあります。
そんなときは、自分の力だけで何とかしようとしなくていいのです。
もし、今のこのざわつきの正体を、少しだけ覗いてみたいと感じたなら──私の相棒の白いインコが選んでくれたカードに、聞いてみてください。
不安を消す魔法ではありません。でも、あなたの心の雲を少しだけ薄くして、向こう側にある空を見せてくれるかもしれません。
今夜、あなたにお願いしたいこと
最後に、一つだけ。
今夜は、不安と闘わないでください。
消そうとしなくていい。理由を突き止めなくてもいい。
ただ、目を閉じて、心の中で自分にこう伝えてあげてください。
「不安でいい。それでも私は、明日もちゃんと目を覚ます」
強い言葉じゃなくていいのです。大丈夫じゃなくても、明日は来る。それだけで十分。
レモンバームの香りが手に入らなければ、温かいお湯を一杯飲むだけでも大丈夫。手のひらに伝わる温かさを感じながら、今夜はゆっくり休んでくださいね。
今夜も、理由のないざわつきの中で眠れずにいるあなたへ。
不安を感じることは、弱さではありません。
それは、あなたが自分の人生を大切にしている証拠です。
空を覆う雲は、必ず流れていきます。
その向こう側には、いつもと同じ穏やかな空が、ちゃんと待っています。
──白の魔女ルミナ
